最近ではブログを書く時間が足りないぐらい忙しくなってきました。toneplusで頑張っている成果は、皆さんに既にお目通し頂いているかもしれませんね。
今回はいつもより少し暗い話題について書きたいと思いますーCG業界の「暗部」というところでしょうか。これは、アニメーション学校の学生やソフトウェアメーカーを含めて、日本のCGアニメーション業界関係者のすべての方々への警鐘です。
1 スタジオのオーナーの立場から、そして20年以上にアニメーションおよびVFX制作に関わってきたアーティストとしてこのお話しをさせて頂きます。私のことを良く知る方々には、自分は決して目先の利益ばかりを追求するような人間ではないと理解するでしょう。しかし我々の業界は、そういった一部の人間によって喰い殺されていようとしています。
ハリウッドでは、過酷な労働時間と雀の涙と言えるほど低い報酬を強いられながらも、クライアントからさらにコスト削減するように要求されている中、大手CG会社が次々と倒産したことは、まだ記憶に新しいと思います。そのとどめを刺したのは、賃金の安い海外「支社」に仕事を輸出ことでした。
現在、ハリウッドCG業界全体が危機に晒されており、給料未払いのままで解雇、学生が就職できない、ソフトウェアメーカーが顧客を失い、何もかもめちゃくちゃで、世紀末さながらの光景です。
海外からこれを読んでいる方は、日本の生活基準がアジア各国と同じと考えているかもしれませんが、それは勘違いです。日本はアメリカ並みの高い生活基準を維持しています。実は数年前から、私の元に賃金の安い国にスタジオを開設して欲しいとか、仕事の輸出の手伝いの依頼などのオファーがたくさん入ってきています。その国の政府から補助金をオファーされたこともありました。これらの提案をよく考えた末、すべて断ってきました。アートを安くしようとする考え方は根本的に間違っているように思えたからです。ゲームや映画を買おうとすると、私は最高の作品がいい。また、補助金がその国に人為的に優位性を与えてしまうことは、私にはアンフェアに見えました。
しかし、仕事を海外に輸出するトレンドが進んでいます。こうなることは以前から目に見えていました。私が日本で駆け出した頃、アメリカにも匹敵する素晴らしいR&Dチームがいました。だが20年の間、私はその緩やかな衰退を見てきました。今となってはR&Dへ割ける予算がほとんどなくなったのです。そして学生はプログラミングやアートといった大切なことをろくに教えられず、一部のソフトウェアのオペレーションだけ身につけてしまう。私としては中途半端としか思えません。
私はこの日本でアニメーターとして頑張ってきました。何回か入院したこともあります。その中で、制作会社がコストを削りに削って、時に友人でもある作業者を文字通りに死ぬまで働かせることが目に余りました。この理不尽を変えることが私の夢であり、使命だと考えます。それが私のtoneplusを開設した理由。流れに逆うために。
競争は厳しいですが、世界中から最高の人材を集め、日本人と肩を並べて一緒に仕事をすれば、正々堂々に仕事をしても生き残れることができることが分かると信じています。この底辺へ続く悪循環をちょっとだけ上に向かせられるかもしれません。
2人のスキルの高いアーティストは10人の新人よりずっと仕事を上げられる上、それだけディレクションしやすいのです。ディレクションを理解し、作業に反映させることこそ大切です。
私は一晩でこの状況を変えることができませんし、不平等な土俵の上で競争しなければなりません。うちのスタッフにできるだけ快適に働けるようにすることを課題にしていますが、私はあくまで一人の人間です。
正直に言うと手っ取り早く稼ぎたければ安い国でスタジオを開いて奴隷同然に人を働かせば儲けられますよ。しかし私たちアーティストは、良いアートは底辺への競争から生まれないと考えると、私は信じています。
この業界が殺されていることに苛立ちを覚える以外、今回もう一つお伝えしたいポイントがあります。日本には豊かなCGアニメーション文化があるのに、それを手放し、船に載せて送り出そうとしている。なんてこった。心配しているのは外国人である私だけですか?この死に体の業界を復活させようとするのは他に誰もいないのでしょうか?
いつか海外の経済事情が日本に追い付き、海外の賃金が上がれば、我々には残る日本文化にはその特別な一部がなくなってしまいます。
最後に、明るいお話しをさせて頂きます ;)
toneplusが自信を持ってご提案するのは、納期の厳守およびより品質の高い結果です。
toneplusは受けた仕事をすべて社内で完結させるため、徹底した品質管理を可能にしています。会社のトップレベルからCGアニメーションのノウハウを持つため、制作に関するご相談を十分に理解した上、柔軟に対応いたします。こうした体制により、リテイク作業も迅速に対応し、ご要望を忠実に反映します。
パーセンテージの駆け引きよりも、これが最終コストを抑えることに繋がるため、クライアント様に引き続きご利用頂いております。
以上、考え事でした ;)